2000年9月7日。
いよいよ9月8日ですねぇ。秋葉原は朝から大変なんでしょうねぇ。前回はカノン砲なんてぇ凄い物が出ましたが、今回は何が出るんでしょうか? 特典の時計を入れた青い袋を持った、心優しい物語を抱えたむくつけき男達が秋葉原を早朝から占領するんでしょうねぇ。『まぎかるあんちーく』の時には、等身大のポップを持った人がその辺中歩いてて、うはぁ、と感心したもんです。私はてっきり5万本くらいかな、と事前予想していたんですが、『大気』は10万本ですかぁ。憎いねぇ。憎いぜあんちくしょう。私がシナリオで参加したゲームを全部合わせても6万強くらいですからね。6本つらねて6万強!! 時間にすると5年くらい。ちなみに一番売れたので2万6千くらいだったかなぁ。参った参ったって感じです。やっぱりエロシーンが多くちゃいけないんでしょうか? とかなんとか言ってる癖に、当の私も予約までしてあるんですよね。初回版のサントラ欲しくてさ。『ぷあめーる』も終わらせてないっちゅうのに。
なんか人生疲れちゃって、一昨日なんか会社に置きっぱなしになっていた『エルナサーガ』をいい機会だからと全巻読破して、数カ所で涙ぐんでしまいましたよ。ハッピーエンドっていいなぁ。『マップス』も面白かった。 そんな無駄ぁな話はともかく、さっそく『エロゲーとわたし』でも始めますか。
まぁ先週の続きで『輪恥』ですね。色々在ったんですよ。製作期間中に会社の引っ越しがあったり、H氏が消えてディレクター不在になったり、最後にはプログラマーが倒れるし。波瀾万丈支離滅裂。
営業と田所さんは元の場所のまんまで、開発だけが引っ越ししたんですね。確かこの時、開発の人員は(株)PILに営業は(株)ストーンヘッズになったんじゃ無かったっけか? 全開発陣が引っ越す前に、先行で私、H氏、Aさんの3人だけが何故か先に引っ越したんですね。広い新開発室にたった3人。3人の愛憎渦巻く昼メロもかくやという恋模様が展開されたりは全くしなかったです。私は、しこしこと『輪恥』を書き続けました。先週号で書いたような理由で、シナリオはじぇんじぇん進みませんでした。あまりにも蛍チャンがはきつかなくて、オドオドいじいじなので、私はむかついてむかついて、だんだんイジメっ子の方に力を入れるようになりました。私は、こいつには何をしてもいいんだぁ、と思うと、果てしなく青く残忍になる性質らしくて、こんにゃろこんにゃろ、と蛍をいじめまくりました。でも、書いてて疲れるんだよね、ノルけど。
で、書いてたら、シナリオの完成を待たずにH氏が消えてしまったのです。詳しくは知りませんが四国の方に引っ込んで平和に暮らしているとかいないとか、奥さんにエロ関係の本を片端から焚書されたとかされないとか・・・幸せに暮らしているんでしょう。足抜け出来て良かったですね。
で、何が変わったかと言うと、別段何も変わらず。私のシナリオは遅れ気味で、ひぃひぃし、そんな最中に開発の全人員が引っ越してきたんです。と言っても、何があったかなんて全然覚えていませんが。進行速度はともかく、毎日毎日シナリオを打ってました。
『輪恥』と言う題名も、この頃決定しました。私の押した題名は『すばらしい日々』という捻った物でしたが、エロゲーっぽく無いと言う事で相手にされず、『輪恥』になった記憶があります。
ディレクター不在のまま開発は進み、全てが何となくという漂流状態。そして、確か社長からだったと思うのだが特命が下って、音楽発注というものをしなければならなくなったのです。『犬』が3曲。『輪恥』が3曲。これが私にとって初めての音楽発注でした。
さて、我が社の音楽発注の方式の説明をしておきます。まず予算から曲数が出されます。『これだけシーンがあるから、それに見合った数だけ欲しい』なんて贅沢はした事がありません。だいたい十曲です。作品の展開によって増やすなんてぇ贅沢も出来ません。曲数が決まったら、次は発注書の作成です。こんな感じの曲が欲しいと言うのを書く訳です。
一例として、『犬』と『輪恥』から一曲ずつを掲載します。
『輪恥』3、それでも地球は回ってる
【使用場面】
おだやかなエンディングで使用。
【曲調】
おだやかな曲、リズム主体。でも、どこかだるい感じ
少しずつ変化しながら繰返すフレーズ、日常の倦怠。
1より温かく、柔らかく、感じで。
【サンプル】
LIVE TO LIGHT AGAIN BY WORLD FAMOUS
『犬』2、不安
【使用場面】
主人公とヒロインの絡み。主人公の悪夢。
次女の独白。オープニング。
【曲調】
暗闇で何か得体の知れない物が膨れあがりながら近づいて来る・・・・・・
そんな感じの曲です。胸騒ぎ。リズムはゆったり。
うねるようなギター。歪んだドラム。サンプルの曲では少し派手すぎますが
イメージは、こんな感じです。
【サンプル】というよりイメージ
マリアンヌ BY ジャックス
と、まぁこんな感じです。これにカセットテープにダビングしたサンプル曲をつけて外注さんに渡す訳です。打ち合わせも勿論します。それを元に向こうが曲をビシバシっと上げてくれる訳です。それを聞いて、リテーク出して、また作って貰って・・・と、そうやって曲を作って貰うわけです。
『犬』は倦怠感に満ちた曲ばかりで構成する事にしていたら、見事狙いは当たって、バグチェック中に睡魔に倒れる人が続出しました。でも、此処だけの話、『犬』は曲がつく前から異常に睡眠力の強いゲームで、曲はそれをパワーアップさせただけだったのです。つまり、面白くなかったんですね。ヨーロッパ映画みたいだと言われてましたから、いわゆる芸術ぶっているつまらないおフランスの映画みたいだと、今、目の前でスージーQが言ってますが、反論の余地がありません。事件が大して起こらない割に、描写の密度が濃くて、良く言えば濃密。悪く言えばこってりとしてしつこいのです。その辺の事情は『エロゲーとわたし』の最初の頃に書いてましたが・・・正直自分もあのシナリオを読み返すのは辛かった・・・愛着はあるんですけどね。シナリオライターである私も『輪恥』が押しまくっていた所為で、というか押しまくっていると言うのをコレ幸いに『犬』は殆どプレーしてません。あれでも既読の選択肢は消える様にするなどの改良を、当時のサブプログラマーのMさんにして貰ったりしたのですが、その程度で根本的な問題が解決する訳もありません。
この頃になると、他の三本も制作が佳境に入り…修羅場とも言う…バグチェックも大混乱でした。特に『犬』『輪恥』はディレクターすら良く解らない状態でバグチェックをやっていたので、一体誰が責任を負うのやらも五里霧中。それぞれの担当者が相談したりしなかったりして、行き当たりばったり。結果的に仕事が出来る人に相談と仕事が自動的に集まると言う最悪の状態でしたね。
でしたね、とか第三者ぶってすいません。
プログラマーのTさんは、カラオケでエルビスプレスリーを歌うのが得意な優男で、ストーンヘッズ史上最高のモテそうな顔をしていましたが、この件で燃え尽きたのか、『PILcaSEX』の仕事が終わって少し経った自分に、FADEOUTするようにやめてしまいました。一寸先は闇だね、この業界。
私はシナリオの修正ばっかりやってました…土壇場でエンディングの幾つかが過激すぎるって社長に修正もくらったし・・・イジメっ子がイジメられっ子になって自殺に追い込まれて、校庭の水溜まりに頭から墜ちて、足が空に向かって突き出した形で死んでいると言う描写と、主人公が自殺に追い込まれて、その次の日の朝礼で校長が生命の尊さについて白々しい言葉で話しているのを生徒は誰も聞いて無くてお喋りしていると言う描写。この二つのシーンが残虐すぎるとカットされました。ありそうな事をありそうに書いただけで、取り立てて残酷とは思わなかったし、実は今でもそう思ってるのですけど、判断するのは私じゃ無かったので仕方の無い事です。
仕方ない仕方ないそんな言葉を覚えるために生まれてきたの? と言ったのは確か中島みゆきでした。最近はどうでもいいけど、昔の中島みゆきは大好きでしたね。実は『夜会』にも3回くらい行ったんです。回をおう毎につまんなくなっていきましたが・・・本当にどうでもいいですけど。
とにかく『輪恥』はマスターアップ当日朝まで作業をしてました・・・今振り返ればグラフィック25枚でやるネタじゃ無かった、と思います。でもあれを拡大してシリアスに救い無くイジメを扱ったら、誰がそんなゲームを望むだろうとも思うんですね。
でも、いつか何処かでもう一回はやりたいネタではあります。
なんか今週はパワーが無いです。開発室のクーラーが壊れてしまった所為で蒸し暑いからかもしれません。でも、もう少し早く壊れていたら夏の暑さに直撃されていたかもしれませんから、今壊れていろいろな意味で丁度いいのかもしれまんせん。
BY ストーンヘッズシナリオライター まるちゃん改め丸谷秀人でした。
PS 来週の『エロゲーとわたし』は?
やっと
やっと!!
一部に根強いファンがいるらしい
『女郎蜘蛛』のお話しだよ。
でも
今年の夏コミでも予告はあったけど同人誌は無かったのさ。
ちょっと哀しかったよ。
実際大して売れた訳でも無いしさ。
などとネガティブはいってても気が滅入るだけなので
ここは便所の100ワット!!
どんな感動秘話が飛び出すか
みなさんも来週をお楽しみに!!
見捨てないでネ
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