● 『仏蘭西少女開発回想録』 第19回
みなさんこんにちは。 ようやく涼しくなってきて、 俄然開発にも身が入る今日この頃、 好事魔多し、自転車で帰宅した途端、腰に激痛が走った ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 立ったり自転車に乗ったり一旦座ったりすれば、 痛むことはないので、腰を使う動作の度に情けない声を上げながら 何とか事務所に行って、そのことを冗談交じりに20代前半の若いスタッフに話したところ、 「それはお気の毒様ですね」 なんて優しい言葉(社交辞令でもいいんだよ!)どころか、やけに嬉しそうな顔で、 「ぎっくり腰ですか?」 等と言われる始末。 ばばかオマエ、ぎっくり腰なんてのはおっさんが罹る病気だろう。 あ、病気じゃねえか。まあいいんだよ細かいことは。 俺はまだそんな歳じゃねえんだよ。 ちゃんと調べてねえけどさ、ぎっくり腰ってあれだろ、 もう立てないくらい痛いらしいじゃん? 俺そんなことないもんね。ちゃんと事務所これたもんね、バーカバーカ。 ……と、必死に捲し立てれば立てるほど、 心中に膨らむイヤ〜な予感。 どどどど童貞ちゃうわ! に似たニュアンスのアノ感じですね。 というわけで、こっそりぎっくり腰で検索してみました。 いやー、インターネッツは便利ですね。 で、以下が出てきた主な症状。
よく分かるねえ。君ぃ。 ………… あははー、俺、ぎっくり腰でしたあー!! みなさんもお気をつけてー!! あははー…… ハァ…… ……というわけで、 この頃の気候の変化に秋の深まりを感じると同時に、 人生にも着実に秋が訪れているのだなあ、としみじみ思いつつ、 今週も行ってみましょう。 <仏蘭西少女開発回想録第19回 2009.01〜03> 今回も音声収録の話なんですが、 特定のキャラクターの話ではなく、ロシア語の話です。 『仏蘭西少女』には、ロシア語の台詞もあったんですね。 丸谷先生によると、 織田桐舞子――黄蓮華がトップに立つ上海の裏社会組織は、 多国籍軍っぽい構成だそうで、 中国人、日本人、モンゴル人、そしてロシア人、等々、 社会のはみ出し者の集まりの裏社会の中でも、 さらにマイノリティな人たちが集まった集団、というイメージでした。 まあ、それはそれで裏設定としては問題ありませんが、 その組織に所属していて、シナリオにも出てくる白系ロシア人、 マレンコフとの会話中に、そのロシア語の台詞が出てきます。 最初にその話を聞いた時は、 「何もそこまでせんでも……」 と思わなくもなかったですが、驚いたことに、 僕が『仏蘭西少女』のディレクションを引き継いだ当時には、 もう該当台詞のロシア語訳と、その台詞をロシア語で喋っている サンプル音声ファイルがあったんですよ。 ここまで資料が揃っているのであれば、録らないわけにはいきません。 中国語も前回書いたように、中国語として収録したわけだし、 整合性の面でも「日本語訳台詞だけでいいじゃないですか」 というのは言いにくい状況です。 しかし、それにしても。 このロシア語訳は一体誰が作ったんだ? そしてこのサンプルのロシア語を喋っている謎の男女は? (サンプルは、マレンコフと舞子がロシア語でやりとりしているシーンでした) 話を聞いていると、どうも金山会長の方の人脈だそうで、 そういえば、主題歌BGMを担当したヤヅチスエタさん(この人は丸谷先生の紹介でした)も、 フランス語をサラっと歌詞の中に織り交ぜてみたりと、 何かとアカデミックな雰囲気のある人だったし、 何と言うか、随所にこれまで僕が体験したエロゲー開発現場とは一味違った雰囲気です。 丸谷シナリオ恐るべし! ですね。 だがしかし! 世の中資料さえあれば何でもできるかというと、 そうじゃないことが、このロシア語収録で分かったんですね。 ネイティブなロシア語を映画等で聞いてもらえると早いですが、 ロシア語って、なんか独特の巻き舌っぽい発音があるんですね。 適当なカタカナを若本規夫っぽい巻き舌加減で喋れば、 なんちゃってロシア語になるんじゃないか、というくらいの巻き加減です。 収録前に、このロシア語サンプルボイスデータを 僕、丸谷先生、音声ディレクター、声優さんで聞いたんですが…… 1回目聞き終わった後は、みな「?」でした。 え、今なんて言ってたの? もう1回もう1回! そして2回目を聞き終わった後は、「??」でした。 ちょっと待ったちょっと待った。これ台本にあるカタカナ通りに喋ってる? じゃあ3回目はスローで再生してみましょう。 3回目を聞き終わった後…… なんとか台本は終えたけど、これをあのスピードで発音できるのか!? ゆっくり喋ってそれを早回し再生すれば……いや、それだと音が高くなるから駄目だ。 うーん…… 現場に居るスタッフ全員が腕を組んで黙りこみます。 一体どうすればいいんだ…… 「やってみます」 均衡を破ったのは、やはり声優さんでした。 その結果は……ゲームに収録されているボイスを聞いてみて下さい。 声優さんの役者魂、というより、仕事人としての意地がそこにあるように思います。 しかし、中国語といい、このロシア語といい、シナリオのボリュームといい、 アドベンチャーモードとノベルモードが両方あったり、 『仏蘭西少女』は、これまでに体験したことのないことが、次々と出てくる現場です。 規模や内容云々とは別のところでも、強烈な印象を残した仕事です。 さて、そんな印象深い仕事の回想録も、恐らくあと数回で終了になります。 思いの外長い連載になってしまいましたが、 もうしばらくお付き合いいただければと思います。 それでは、また次回。 <続く> 『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、 下記のメールアドレスまでメールして下さい。 france_info@franceshojo.com 2010/09/24
● 丸谷秀人のつぶやき千里・第32回
もちろんこれは例え話です。 エロゲーではよく屋上が舞台として出て来ますが、実際問題、学生時代 屋上に出入りしていた人ってどれくらいいるんでしょうか? ちなみにエ ロゲー出て来る登場人物は全て18歳以上です。 あれは夏の事だったと思います。なぜならボクの記憶の中で彼女は夏服 を着ていたからです。なんで屋上にいたかといえば、彼女が飛び降りよう としていてボクがそれを止めようとしていたから、ではありません。そん なドラマチックがそうそう起こるわけもないのです。何の事はない、彼女 はこっそり煙草を吸いに屋上に行っていて、ボクはその見張り役でした。 なぜ見張り役だったかと言えば、彼女はひどくサディスティックでボクは 彼女の下僕だったからです。屋上の冷たいコンクリートに転がされて見上 げる彼女はひどく魅力的でした。ちなみにパンツもよく見ましたが、あれ くらいエロいパンツは後にも先にも見たことがありません、股間の辺りの 微妙な陰影の具合を思い出すと、今でも当時のどこか薄暗い喜びがよみが えるということもなく、実は見た事はありません。多分、見たら殺されて いたことでしょう。顔に容赦なくキックが入り、つばでも吐きかけられた 事でしょう。まぁボクは彼女の下僕ではなく、蹴られた事も殴られた事も 締められた事もなかったので、パンツを見る機会なんてなかったのですが。 どんなパンツを履いていたのでしょうか。もしかしたら半年に一度くらい ノーパンだったりしたのでしょうか。いったいどこのエロゲーだよ。ちな みにエロゲーに出て来る登場人物は全て18歳以上です。大事な事なので 二度言って見ました。ではなぜ見張りだったかと言えば、単に未来文芸研 究会のたったふたりの部員だったからなのです。部室をバトミントン部に 占拠されてしまって、まぁ仕方なく誰もいない屋上にいたのでした。なぜ そんなライトノベルにたまに出て来るような理不尽が通ったかと言えば、 その年、どこやらの国体でバトミントンで優勝したとかいう奴が転校して 来て、急遽奴等に部室が与えられたからでした。私立だったのでそういう 横車がぐいぐいと通ったのでした。そんなわけでボクは今でもバトミント ンが嫌いです。で何をしていたかと言えば、部活をしていたのです。未来 文芸研究会というのは要するにSF研でありまして、つまりSEXFRI END研究会で、ボクは彼女の体に溺れていったのでした。パンツどころ かもっと隅々まで見ましたよ。ただし月一でしたが、なぜならセックスフ レンドなので金を払わなきゃやらせてもらえなかったのです。当時のボク の小遣いでは月一払うのが精一杯でした。つまり、クラークだのアシモフ だのシマックだのレムだのボネガットだの小松だの星だの筒井だの眉村だ の吾妻だの竹宮だの萩尾だの永井だのについてだらだらとだべる部だった のです。SFはもちろんサイエンスフィクション。の略です。すごい不思 議でも少し不思議でもすげーフィクションでもいいですが。今、思い返せ ばボクは彼女に恋をしていたのでしょう。当時もなんとなくそんな気がし てはいましたが、まぁ、SFファンが希少種だったあの当時では、そんな 事でSFファンの知り合いを失うのが恐くて、なんにも言えませんでした。 いやぁ、甘酸っぱいなウン十年前のボク。卒業後しばらくして彼女もそう だったと知りましたが勿論、あとの祭りでした。切ねーなウン十年前のボ ク。まぁそんな事はなかったのですが。で彼女が煙草を吸うという事を知 ったのも屋上で部活をするようになってからなのです。だって部室で吸う と匂いがこもってばれちゃうじゃない。と彼女が面倒くさそうに言ったの を昨日のように覚えています。その時、彼女が不意に大人びて見えたので した。あの時、ボクは彼女に恋したのかもしれません。ちなみに彼女が美 少女だったかと言えば、まぁ、ちょっとかわいかったな、くらいでした。 多分。多分というのはうつくしい過去の中では、彼女はとてもかわいらし いからです。まぁそんな経緯でボクらは屋上にいたのです。語るべきSF はいくらでもあったし、また、当時SFファンは肩身が狭くて、語りたく ても語り合える相手もいなかったのでただ語るだけでも飽きませんでした。 だからこそ、SFと関係ない話をしたあの時のことが妙に記憶にこびりつ いているのかもしれません。 ねぇ、ここから飛び降りたらどうなるかな。運が良ければ助かるんじゃ ない。彼女は吸っていた煙草を足下に放って踏みつけると、じゃ、やって みようか。まぁ、やってもいいけど、やらない方をお勧めかな。ねぇ飛ん だらさ、別の次元とか過去とかにいけないかな? 原爆の爆発に巻き込ま れて時空の歪みを飛び越えたり、雷に打たれて過去へ飛んじゃう話はあっ たけど、飛び降りはなかったんじゃないか。あるわよ。あったかな? わ たし好きなのその話。誰が書いたの? ちょっと前の『SFマガジン』の 短編特集に出てた。へぇ……まぁ、過去に行けたらさ、あのバトミントン 王子をどうにかして欲しいな。オッケー。でも、この手すり危ないよな、 腰くらいの高さしかないんだから。つまりさ、飛び降りても平気って事だ よ。あーなるほど。いっちょやってみたら? ボクは手すりの向こう側を 見ました。5階の高さから見る地面は妙に遠くて現実離れしていて、何の 危険もなさそうでした。見ていると徐々に吸い込まれそうで、このまま落 ちていったら気持ちよさそうだなんて一瞬思ってしまって、一瞬でもそう 思った事が恐くて、思わず手すりを強く掴んでいました。……遠慮する。 筒井の新刊が読めなくなっちゃうものね。あ、そういえば来週出るんだっ け? うん。 そのあと話はいつものSFトークに戻ったのでした。1時間くらいして 部活はなんとなく終わり、ボクらは屋上を去ったのですが、いつものよう に一緒に下駄箱まで歩いている途中、不意に彼女が、いっけない英語の宿 題あったんだ。教科書、置いてきちゃった。と言って階段を上っていった のです。たまにそういう事はあったので、つまり彼女はそそっかしい所が あって、そこがまたちょっと魅力的でした。別に待つというほどの関係で もなかったし、待っているという行為をするコト自体が、なんだか恥ずか しくてボクは先に靴を履き替え校庭へ出ました。その時、なにか胸騒ぎを 感じて顔をあげると、屋上の柵の上に彼女が立っていました。十字架のよ うに両手を広げて立っていました。風にスカートがはためいて白い布地が ちらちらと見えました。いえ、見てませんよ。ホントです。風はなかった んで。ボクはただ呆然と立ち尽くしていました。マジかよ。おいおい。過 去に行ってまで抹殺したいほどあいつバトミントン王子嫌いだったのか? なんて馬鹿なことを考えたのを覚えています。どれくらいの時間が経った か、おそらく大した時間ではなかったんでしょう。彼女の体がぐらりと揺 れて、ボクは弾かれたように落下地点へ、なんて事はなく、彼女はあっさ りと柵の中に戻りました。それだけでした。翌日、会った彼女はいつも通 りでボクも何も聞かず、それから卒業までSFの話以外はした記憶があり ません。もしかしたら、お互い他の事を話したくなかったのかもしれませ ん。卒業後、ボクらは会う事もなくいつのまにか年賀状の遣り取りも途絶 え今にいたっています。だからボクの心の中の彼女は、いつまでも柵の上 に立ち続けているのです。 なーんて思い出があれば、屋上も劇的なんですがね。がっかり。 2010/09/17
● 『仏蘭西少女開発回想録』 第18回
みなさまこんにちは。 ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 毎度毎度、ここの前口上を考えるのが一番悩みます。 季節のネタも毎週だとすぐ尽きちゃうし、 ゲーム開発なんて引き籠ってパソコンに齧りついてる仕事ですから、 花鳥風月に思いを馳せるってのも、そもそも柄じゃない。 ……と、こんなことを書いてると、 じゃあ面白いことは何も無いのかオマエの人生には!? と、自虐気味になりそうですが、あるんですよ、楽しいことは。あるの! ただ個人的な出来事は、このスペースにはそぐわないし、 仕事に絡むことは色々とタイミングを揃えないといけない。 ディレクターやってると色々情報を耳にする反面、 立場上、黙ってなくちゃいけないことも多くてヤですね。 王様の耳はロバの耳。 キリヤマ隊長は垂れ気味の乳が好き。 こっちは公然の事実ですかそうですか。 そんなわけで、今週も早速行ってみましょう。 <仏蘭西少女開発回想録第18回 2009.01〜03> さて先週に引き続き、『仏蘭西少女』の音声収録の話です。 今回は執事・キャリバン役の空乃太陽さんのことを書きます。 前回書いた中国の収録に続いて、この執事の収録もなかなか厄介でした。 ……といっても、後にも書きますが、収録自体はそれほど厄介ではなかったんですね。 厄介だったのは、 「全てカタカナで表記されている執事の声のイメージ」 なんです。 『仏蘭西少女』をプレイした方ならご存知の通り、 この執事・キャリバンの台詞は、全てカタカナ表記です。 「ソロソロゴシュッキンノジカンデハゴザイマセンカ」 終始こんな感じの台詞ばっかりなんですね。 当然このままだと収録が面倒くさくて仕方ないので、 台本には同じ台詞の漢字仮名交じり版を併記したものを使用した(……はず)のですが、 問題は「それをどういう喋り方、声色で演技してもらうか?」 という点でした。 今だから言えることなんですが、 キャスティングの時点では明確なイメージは無かったんですね。 収録前までに出来た備えと言えば、 音声収録ディレクターとキャスティングを決める際、 声優の空乃太陽さんは器用だから何とかなるんじゃないか? という最低限(?)の保険を掛けるくらいが精いっぱいでした。 結果的にその保険は掛けておいて正解だったことになります。 『仏蘭西少女』の音声収録が始まり、年が明けて2009年。 いよいよ執事の収録が近付いてきた、ということで、 丸谷先生に最終的なイメージの摺り合わせをしても、 「ちょっと不気味で〜とか、無機質で〜とか、 ある程度漠然としたキーワードは出せるけど、具体的な指示までは難しい」 というお言葉。 僕は僕で似たようなものだったので、強くは出られません。 結局キャスティング当初と大差のない、 「収録最初の演技の方向性を決める時間帯に実際に聞いて調整するしかない」 と、そういう結論になりました。 音声収録の現場では程度や量の差こそあれ、 そういった撮り方――収録当日までどういう演技になるか分からない――というのは、 無いわけでは無いです。 音声はナマモノ、と言われる所以には、そういう部分によるところもあります。 特にワード数(台詞のクリック数)が、メインキャラ程多くないサブキャラの収録は、 往々にしてそういうことになりやすいですね。 ……とはいえ、大半のケースがキャスティング時にある程度のイメージは出来ているもので、 収録当日まで、演技のイメージにある種の不安を抱えている状態、というのは、 気持ちの良いものではありませんでした。 そして収録当日。 あるキャラクターの収録初日は、 開発スタッフと声優さんが実際に顔を合わせる日でもあるので、 いきなり音声を撮ったりしません。 まず、キャラの設定の説明をし、キャラクターのイメージにズレがないかを確認、 次にブースに入ってもらって、声優さんが当日までに台本で読んだイメージを聞き、 それを元に「じゃあこれで最後まで撮りましょう」という演技になるまで、 何度か短いシーンを繰り返し読んでもらうことになります。 執事役の空乃太陽さんには、 最初のキャラ設定の説明の段階で、 「こういう設定のキャラではあるんだけど、どういう喋り方なのか具体的なイメージは無いんです」 とストレートに話ました。 嫌な顔されるかな……? と内心ドキドキしたものですが、 空乃さんは、割とあっさり 「あ、じゃあ最初にいくつか考えてきたの喋りますんで〜」 と、フラットな表情でブースに入り、 聞こえてきたのが、ゲームに入ってるあの喋り方だったんですね。 最初にテストの台詞を聞いた時、 僕も丸谷先生も「なるほど! そうだったのか!」と思わず口にしていました。 漠然としかなかったキャリバンの喋り方の答えが、今目の前に!(耳だけど) この感覚を説明するのはちょっと難しいですね。 無理やりに例えるなら…… なんとなく体が重くて、原因不明のまま取りあえずマッサージに行ってみたところ、 「はあはあ、ここが悪いんですね、じゃあこの辺のツボとか利くでしょ」 「イダダダダッ、センセイ、ソコッ、まさにソコッ! グウゥ〜っ!!」 ……って感じでしょうか。 こういう時ほど、声優さんに頭が上がらない時はありません。 最終的に、喋り方に間延び感が出過ぎないように、 スピードの調整だけ若干行って、執事の収録はまさに杞憂、という言葉がぴったりの状況で、 その後これと言った障害もなく、スムーズに終わったのでした。 <続く> 『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、 下記のメールアドレスまでメールして下さい。 france_info@franceshojo.com 2010/09/10
● 『仏蘭西少女開発回想録』 第17回
みなさまこんにちは。 ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 9月です。うっそぉ! 早いなぁ〜…… 恐らくこんな感じで今年も終わっちゃって、 そういうのを繰り返してるうちに40、50と歳を食っていくんだなと思うと、 30ちょい過ぎの身としては、何かと思うところはあります。 歳を食って変わるものと変わらないものがありますね。 食欲と性欲はちょっとずつ変わってますね。 人それぞれ性癖や好みのシチュエーションが違うから云々、 という話をこの仕事をしてるとよく聞きますが、 個人でも随分変わるよなあ? というのを毎回思うんですね。 変わっていったという自覚は無いんだけど、 振り返ると変わってるわ、俺、みたいな。 10年くらい前に買ったエロ漫画やエロ同人誌を見ると、 当時のストライクゾーンは、キャラの年齢的にやや低めなんですね。 今でも基本低めなんですが、今なら見逃す球に手が出てましたからね。 数字にすると僅かな違いなんですけどね、 人によっては変わってる内に入らないと思うかもしれません。 でもその違いに拘ってしまうところが、まだ俺はやれる! と思う今日この頃です。 ……というわけで、今週もさっそく行ってみましょう。 <仏蘭西少女開発回想録 第17回> 今回は前回予告した通り、音声収録の話です。 少女や、舞子、香純などのメインキャラの話は、 昨年「中目黒わくわくモンキーパーク」で結構話してしまったので、 この場では他のキャラクターのことでも書くことにします。 『仏蘭西少女』はサブキャラの男率が普通のエロゲーに比べて高めなので、 男キャラの話です。 まずは蔡子才。 蔡子才の収録を思い出してみると、 真っ先に思い浮かぶのが中国語収録の時の体育会系のノリです。 舞子と子才は、二人の間で個人的な会話をする時は中国語で…… という設定だったので、当初から中国語収録の話はありました。 僕と丸谷先生の共通の知り合いに、 中国留学をしたことのあるライター(ジャッキー似)が居たので、 彼に収録に立ち会ってもらえば、何とかなるだろう、的なノリでした。 そんなノリだったので、やってみるまでは、 どういう音声が撮れるか、ディレクターの僕も、ライターの丸谷も、 音声ディレクターさんも、もちろん声優さんも全然分からない……。 そんな状況下での、中国語収録1番最初が、蔡子才でした。 声優さんは青菜炒眼さんです。 「この『眼』がポイントなんですよ。いいでしょ♪」 とニコニコしながら言われた時には、僕も丸谷も返す言葉に困りましたが、 それはさておき、中国語です。 『仏蘭西少女』での中国語収録の基本は 「リピートアフターミー」です。 スタッフ各位には、全てカタカナで表記された 中国語発音台本が渡されています。 とはいえ、カタカナで表記しきれない発音や、 文章の区切れ目(どこまでを一息で喋らないといけないのか)などは、 ただ一人のジャッキー似の彼を除いては全くわかりません。 僕も丸谷も音声ディレクターも、中国語はまるで知らないので、 「聞いててソレっぽければいいんじゃない?」 という雰囲気が収録現場を包んでいました。 ただし、ブースの中は違いました。 中国語講師が喋り、 青菜炒眼さんが繰り返す。 当然最初の方はうまくいきません。 簡単な一言二言のやりとりは、段々スムーズになってきますが、 ちょっと長台詞になると、当たり前のようにリテイクを重ねることになります。 結果として、時間は掛けてるんだけど、台本が中々消化されていかない……。 元々やれるかどうか分からない中国語収録ですから、 現場はやや妥協も已む無し、の空気になっていきます。 「あ、ちょっと違うな。けどもうテイク5だから、これでいい……か?」 みたいな雰囲気になると、 「なんか悔しいからもっかいやらせて下さい!」 との熱い声。 果ては、青菜炒眼さんも中国語分からないはずなのに、 「いや、なんか違うな……」 等と呟き出す始末。 「何が違うんスか、青菜さん!?」 もちろん思っても口に出しません。 収録後半にもなると、そんな青菜さんの熱い心が我々にも伝播し、 中国語講師が「いいんじゃない?」と言う中、 それ以外のメンバー全員が 「いーやもう1回だ。青菜さんなら出来る!」 と言い出すほど現場の空気は温まっていました。 ……というわけで、蔡子才の青菜炒眼さんの収録といえば、 まずこの話が思い浮かぶわけですが、他にも、
ということをまざまざと見せ付けられたものでした。 <続く> 『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、 下記のメールアドレスまでメールして下さい。 france_info@franceshojo.com 2010/09/03 過去の更新 2013年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 2012年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2011年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2010年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2009年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2008年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 |