● ライター=預言者
みなさんこんにちは。 ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 さて1月もそろそろ終わりですが、しましたよ、新年会。 ささやかなものですけどね。 集まったのは個人的に親しくさせてもらっているエロゲー業界の方々なんですが、 その中に『中目黒わくわくモンキーパーク』最後の放送で、 ゲストに来てもらったシナリオライターの右大臣(もちろん仮名)さんが居ました。 この人も丸谷先生に負けず劣らず話をするとなかなか面白い人で、 今日はその話をしてみます。 右大臣さんはこの業界の多くのスタッフの例に漏れず、 アニメや映画のストーリーやキャラの行動なんかにうるさいんですね。 丸谷先生もそうですが、シナリオライターだけにいちいち理屈をつけてくる。 いい意味で。 余談ですが、こういう人たちに開発中のシナリオを見てもらったりすると、 ひとつ聞いて十くらいの言葉が返ってくるから、めんど……頼りになるんですよ。 もちろんいい意味で。 閑話休題。 で、その右大臣さん。 この新年会でもある映画の主人公に関して語り始めました。 ※右大臣さんの語り口はこのコラム用に要約してありますので、 本来の言葉とは異なりますので予めご了承下さい。 曰く、 「本来の主人公はああいうキャラじゃない」 まあよくある酒飲み話です。 観た作品に対してあーだこーだ言う類の。 こちらもほろ酔いの勢いに任せて、 「それだと観た人それぞれに本当の主人公がいることになるじゃない。 だからそんな理屈こねても無駄無駄」 と混ぜっ返します。 しかし右大臣さんはそんないじわるな言葉にもめげずに、 滔々と自説の正しさを語り続けます。 曰く 「シナリオのルールに沿って考えれば、 例え製作者本人がそういう主人公だと言っても、 それが間違ってることもある」 つまり、ある程度まで話なり設定なりキャラなりを作りこめば どこかに絶対的な“本当の主人公”がある。 それはライターや製作者の手を離れて存在する。 そういうことだそうです。 ああ、つまりそれはジー・オー・ディー、ゴッド、神だな。 そして目の前で熱く語る右大臣さんは預言者なのか。 神はどこかに存在して、色々な預言者が神の解釈をするわけだ。 なるほどシナリオライターは神ではなく、預言者とか巫女の類だったわけか。 その預言の影響力が強い人ほど多くの信者を獲得して、 いつか名のある宗派ができるわけですね。分かります。 ありがたやありがたや。 気がつくと僕は右大臣さんの前で掌を合わせて拝んでいました。 新年会らしい神秘体験でした。 <おしまい> 2011/01/28
● 丸谷秀人のつぶやき千里・第35回
このところずっとエロゲーをプレイしていない。 以前ネタにしたデスクトップパソコンの故障がまだ続き、代わりに借 りてきたノーパソは、フリーセルさえ満足に出来ない非力さだ。ああエ ロゲーがやりたい、最後にやったのは某戦闘脱衣エロゲの体験版だ。あ あ、ああ。ああ、今すぐにやりたい! 俺は部屋を駆け回り、頭をかき むしり息を荒げた。禁断症状だ。俺には二次元が必要だ。とびきりかわ いいかエッチかどろどろかぐちゃぐちゃか、ぴちゃぴちゃか、ラブラブ か兎に角なんでもいいからエロゲーがプレイしたいのだ! 今ならどん なに面白くないエロゲーでも、いやそれどころか面白くない上に絵まで 駄目なエロゲーでも、更にくわえて声優がみんな棒読みでも、えへらえ へら笑いながら幸せにプレイ出来るに違いない。ああ、俺はエロゲーに 飢えている! がるるるるるるるるるぅぅぅぅぅぅぅ。 こうなったら仕方がない、俺は愛人1号に電話をかけて、出るなり叫 んだ『やらせろ。今すぐやらせろ。パンツはかずに来い!』女が慌てて 駆けつけたきてすぐに全裸になった『もうちと恥じらいやがれ! パン ツくらい履いて来いよ!』『うるさいわね。脱いでやるだけありがたい と思いなさいよ。ってか、あんたでしょ履いてくんなって言ったのは』 『くっ。てめぇなんざ○○○や×××に及びもしねぇぜ』『またエロゲ ーの女の子? あんたって馬鹿じゃん?』『うるせぇ!』『ほら、ほら さっさとやりなさいよ。あんたの入れたいのはこっちの穴? それとも こっち? さっさと好きな方でやりなさいよ』『ぬぉぉぉ!』俺は憤怒 の叫びと共にちゃぶ台をひっくり返した『ええいうるさぁい!』エロゲ ーの女の子に比べると余りにも駄目駄目だ! 札束を放って『このビッ チめさっさと帰りやがれ』と言ってやったら、女はさっと拾って『毎度 ありお馬鹿さん』とさわやかに言うと、スキップで去って行きやがった。 ああ、もう、現実は駄目だ。二次元がいい二次元でなくちゃ駄目だ。な んであんな女が愛人なんだ。空想なんだからもう少しましな空想にしや がれ。だが、俺の非力なパソコンではどうにもならない! エロゲーラ イターの仕事は出来てもエロゲーは楽しめない。俺がエロゲーを出来な い状態であることを仕事先の複数のソフトハウスが喜んでいるらしい。 畜生。そりゃ俺はほうっておけば、エロゲ−しかしない人格破綻者だか ら仕方ないし、仕事はつまりまくって、エロゲ−するくらいなら仕事し ろよ、お願いだからしてください、さっさとしろというのは判る。判る が、エロゲーは俺の生き甲斐なのだ。やっぱり他人が作ってくれたのを、 ただやるのがいい。自分が作ったのなんて完全には楽しめない。ああ、 エロゲーがしたいしたいしたい! 俺はいきなりの名案で仕事先のソフトハウスに電話をかけた『エロゲ ーをプレイしないと仕事が出来ねぇ! デスクトップパソコンを寄こし やがれ! 俺にエロゲーをやらせろ!』『あーそれは困りましたね。で は、締め切りを三日すぎてるシナリオを今日の晩までにあげたらパソコ ンを用意しなくもないですよ』なにぃ、そう来たか、俺も男だエロゲー のためにはえんやこら。俺は火の玉となってカフェイン錠をバリバリと かみくだき目を血走らせノートパソコンを叩きまくった。ああ、この先 には二次元の二次元による二次元のためのパラダイスが広がっている、 きゃっきゃうふふの素晴らしい世界だ。買ったけどまだビニールも取っ ていないあのエロゲーとこのエロゲーが出来る、ああ、もうすぐ出来る のだ! 俺は、たちまちにしてシナリオをあげるとメールに添付して送 って、矢も立ても溜まらず電話を掛けた。『シナリオあげたんだからデ ィスクトップパソコンを寄こせ。俺はエロゲーをやるんだ!』『はぁ? なに寝言言ってんですか? そんな締め切り間際の約束なんて信じてた んですか? 馬鹿ですね』『な、なんだとぉ。どうして俺が馬鹿だとい うトップシークレットを知っている?』『けけけ。まぁいいです。シナ リオさえあげればあんた用済みなんで』ぷち。ああ、駄目だ現実は駄目 だ。裏切りだけが人生だとか心得てやがる! やっぱり二次元だ。くそ ぉ。二次元には多分締め切りもないんだから、二次元最高だ! しょうがないので愛人二号に電話をかけて『幼なじみになって毎朝起 こしに来てくれ! この際エロゲ−的だったらゼイタクは言わない。血 の繋がっていない妹でも、姉でも、近所のかわいこちゃんでも、もうい っそのこと男の娘でもいい! かわいきゃなんでもいいんだ! 俺が起 こしに行っても構わない! ああ、今すぐそうしよう、どんな起こし方 がいい? ここでこそ選択肢が欲しいところだ。ゆさゆさか、こちょこ ちょか、耳元でアイをささやくか、それとも目覚めのキスか? いや待 て、やはり起こされるのも捨てがたい、かわいい妹だったり幼なじみだ ったら、跳び蹴りでも許す。きっと不条理に短いスカートで、朝からパ ンツが見えるに違いないそれは水玉かしましまか。いきなり黒だと違う ゲーム性を期待してしまうかもしれないぞ、いや、それともメイドかっ。 ご主人様とか言ってくれるのか!? 最近では純愛ゲームでもメイドコ スプレして朝フェラとかもあるからな、うへへ。二次元は凄いですよた まりません!』と情熱のほとばしるままに絶叫したら、おかけになった 番号は現在使われておりません、と来やがった。くそぉ逃げやがった! なんで単なる空想の愛人にまで逃げられるんだ! 空想なんだからもう 少しマシな空想にしやがれ。 という初夢を見た正月だったとさ。 2011/01/21
● 「だらしないカラダ」という名の冒険
みなさんこんにちは。 ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 最近個人的にヒットしている単語は、 「だらしないカラダ」 です。 これは攻守両面行けるからいいんですよ。 「おめー、だらしねぇカラダしてんなー」 と責めて良し、 「あんたホントだっらしないカラダしてんねー」 と責められて良し、 責められる場合は、台詞の合間にほんのりブレス(吐息のみ)の 苦笑が入ってるとなお良い感じです。 本当にだらしない体はヤですよ。さすがに。 でもこういう言葉が出てくる距離感がたまらないですね。 肉体的にも精神的にも。 これ言ったり言われたりしても二人の関係は破綻しないんだけど、 言われた方はちょっぴりマジ凹みする、的なバランス。 マジ凹みしてるんだけどまんざらでもない顔、なバランス。 ディレクターという職業をやってると、 色々と言葉には気を使わざるを得ないので余計惹かれてしまうんでしょうかねえ。 現実でも、この手の軽くない軽口を言っていいタイミング、 相手と距離を縮められるチャンスみたいなものはあるとは思うんですが、 万が一があっては困るので、慎重にならざるを得ません。 こういう時二次元というかフィクションはいいですね。 ホント便利。 現実にはなかなか言えない言葉とか、 現実に言ったら結構なダメージを食らいそうな言葉とか、 二次元キャラに言わせると、 耐えられるどころかちょっと痛キモチイイところもあるぞ、不思議! エロゲーの大半はアドベンチャーゲームという括りにされることが多いんですが、 確かにアドベンチャーな感じ。 世界を救おうが救わなかろうが、 異世界だろうが現代劇だろうが、 選択肢が多かろうが少なかろうが、 こういう言葉のやり取りだけで十二分にアドベンチャーな気がします。 <おしまい> 2011/01/14
● 帰省で自制
みなさんあけましておめでとうございます。 ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 本年もよろしくお願い致します。 年末年始は開発事務所も閉まってましたので、 今回は私事の内容が多めになりますがご容赦下さい。 その代わり……というわけではありませんが、 新年のご挨拶も兼ねて、若手スタッフに1枚新年イラストを描いてもらいました。 いかがでしょうか? さて改めて、僕の年始の話をします。 今年は久々に帰省しました。 赤ちゃんだった甥や姪たちが大きくなっててびっくり。 さらに、朝こたつで雑煮を食ってたら、 小2の姪(ツインテール!)が 突然目の前で生着替えを始めて二度びっくり。 しかし僕の心は全く乱れなかったので大丈夫です。 せっかくの機会なので、リアルな小学生の言動を観察してました。 女女男(つまり姪姪甥)の3人姉弟だったんですが、 まー下2人、小学校低学年は落ち着き無いですね。 DSiの取り合いでギャーギャー喧嘩三昧。 長女は冷めた感じで、 そんな妹と弟の言動に独り言のような突っ込みを入れ続けてました。 小6くらいになるとかなり落ち着いてる。 彼女とは普通に会話が成立します。 とはいえ共通の話題は無いに等しいので、 ご執心のジャニーズグループ・嵐のメンバーの名前を教えてもらったりとか。 お返しに、アイドルマスターのメンバーの名前を教えてあげようと思いましたが、 ドン引きされそうなので、大人の政治的判断、ということでやめておきました。 長女の言動でもっとも衝撃的だったのは 「○○クンはロリショタ系だから」 という一言。 岐阜の片田舎の小学生も「ロリショタ」とかいう単語使うんですね。 長女、おそろしい子! ここもあんまり食いつくとドン引きされそうなので自制。 帰省で自制。 帰省というよりは、むしろ出征。 「たまに帰ると、ホッとするでしょう」 と親戚の誰かが言いましたが、僕は苦笑いするしかありません。 田舎でのんびり羽根をのばす……というわけにはなかなか行かず、 2日くらい滞在してすぐに戻ってきました。 漫画やゲーム、DVD、同人誌に囲まれた部屋に戻り、 パソコンを起動しつつ、不意に出てきた言葉が、 「まだ僕には帰れるところがあるんだ。こんな嬉しいことはない」 今年も頑張ろう、と決意を新たにしつつ、 覚えたての嵐のメンバーの名前を暗誦するのでした。 <おしまい> 2011/01/07 過去の更新 2013年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 2012年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2011年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2010年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2009年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2008年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 |