●  丸谷秀人のつぶやき千里・第34回

　トラブルというのは、起こって欲しくない時に続けざまに起こるなんて
申しますが、私の身に起こったことはまさにそれでした。
　それは、あるソフトハウスの締め切りが、みるみる迫ってきた冬のある
日のことでした。遅ればせながらも馬力を上げ始めた私を、自宅のパソコ
ンが立ち上がらないというトラブルが襲ったのです。
　馬力が上がっていようが上がっていなかろうが、パソコンがフリーズし
てしまったら、エロゲーシナリオライターは一巻の終わりです。しかも、
自宅のパソコンが動かなくなるということはエロゲーが出来なくなる（こ
れ重要！）ということでもあるわけです。
　大学二年生の時はじめてパソコン買ってからはやうん十年、これだけ長
らく使っていれば、パソコンなんざ手足のようなモノ、トラブルへの対処
なんてお茶の子さいさいです。
　と言えれば良かったのですが、なんせ私にとってパソコンは、エロゲー
をプレイするのとエロゲーを楽しむのとエロゲーをたしなむのとエロゲー
を遊ぶのとシヴィライゼーションシリーズのゲームに溺れるのにしか（そ
ういえば仕事なんて目的もありましたっけ）使いませんので、いくら経験
をつんでも、そっち方面の経験は上がっていないのです。
　
　まずやってみたのが再起動。それから知識を総動員してSafeモードでも
再起動を試みましたが全然駄目です。電源を切って再起動なんてのもやっ
てみましたがウンともスンとも言ってくれません。
　これはＯＳをインストールしなおすっきゃない、ということになりまし
たが私のかわいいウインドウズＸＰソフト本体はどこへ行ってしまったの
やら、自室に巨岩のようにそそりたつ本とマンガとエロゲーソフトとその
他色々の大城塞を崩すなんて始めたら、たちまちさよなら２０１０年よう
こそ２０１１年になること請け合いです。
　ええいままよ、と私は蛮勇をふるい、いつかはＯＳを変えなきゃいけな
いんだから今がその時と、やけっぱちで決断し秋葉原へ向かい、ウインド
ウズ７を手に入れました。５万くらいはすると思っていた私は時代から十
数歩遅れているアホウで、一万ちょいで買えてしまいました。祈りをこめ
てインストールをしてやると、天も私の決断を嘉してくれたのでしょう、
自慢のマシンは２日ぶりになんとか起動してくれたのでした。事前に恐れ
ていたほどは、マシンのスピードも遅くならず、やれやれです。
　インストール時にＯＳ用のハードディスクは消去されてしまったものの、
仕事用のデータの大半は外付けハードに保存してあったので、ＡＴＯＫを
インストールしてやれば、何の支障もなく仕事を再開することが出来まし
た。やっぱり決断って大切だよね。よかったよかった。
　と思ったら、マウスがウンともスンとも反応しなくなりました。人生山
あり谷ありだぜと近所のドンキに駆けつけてマウスを買って、ようやく本
格的に再開です。待ってろよ締め切りの野郎！　目にモノ見せてやるぜ！
　
　それから二日後。ウインドウズ７をアップデートするべく再起動をかけ
た所、話の流れからしてお察しでしょうが、またも全く動かなくなりまし
た。いろいろつたない知識を総動員し、ではなく、某ストーンヘッズとい
う会社のプログラマー氏に泣きついて色々教えてもらった結果、表示され
ているエラーコードからして、根本原因はレジストリエラー、つまりハー
ドディスクだったらしい、というイヤな結論となりました。
　ウインドウズ７を買った時に、ハードディスクを買っておけば良かった
と、嘆き悲しんでいたその時、くだんのプログラマー氏が
　
　『秋葉に用事があるんでついでに買って来ましょうか？』（爽やかに）
　
　と言ってくれたではありませんか！　ありがたやありがたや人の情けが
身にしみる。自宅近くの駅で落ち合いハードディスクを受け取って、いざ、
いざ、我がパソコンに取り付けだ！　とボディを開けた瞬間にものすごい
量のホコリで涙が出て来ましたが、これさえ乗り切ればまたエロゲーが、
もとい、仕事が出来るのだと、断固ハードディスクを外そうとしたのです、
が。
　
　冷却用のファンが邪魔でハードディスクが外せない！
　
　ということが今更判明したのです。我が愛機は秋葉の某ショップ謹製の
ショップパソコンで、しかもサイズがコンパクトタイプ。コンパクトにす
るために中はみっちり、以前、壊れたハードディスクを外した時は、幸い
にも外せたのですが、Ｃドライブは外せない仕様だったのです。やられた。
　プログラマー氏の話だと、部品を買って組み立てれば、そこそこのパソ
コンが１０万かからず手に入るとのことなので、こうなったら、パソコン
自体を新しくするしかない！　と決断したのは良かったのですが、あるソ
フトハウスの締め切りは、凄い勢いで迫って来ていて、一日作業を止めた
だけでも死兆星が見える状態だったのです。部品を買いに行く暇も、それ
を組み立てる暇もありません。その時でした
　
　『僕が部品買って来て組み立てましょうか？』（すごく爽やかに）
　
　とあのプログラマー氏が言ってくれたではありませんか！　ありがたや
ありがたや人の情けが身にしみる。ですが、新パソコンがその勇姿を現す
まで私は仕事が全く出来ない、という素敵なことになってしまいます。ど
うしようどうすればいいんや！　とまたも苦悩する私に『じゃあストーン
ヘッズのノーパソお貸ししましょうか？』という、ありえないような好意
がプログラマー氏がおわします天上界から降り注いできたのでした。取る
物も取りあえず会社に駆けつけてノーパソを借り、それにＡＴＯＫをイン
ストールし、やれやれこれでようやく仕事が出来るわい。
　と思ったら、今度はキーボードがついにご臨終を迎えました。まぁ以前
から挙動があやしく、立ち上げてから１０分くらいは、何を打っても勝手
に『￥』を表示するという、よほどお前は金が好きなのか俺も大好きだが
少しは自重してくれよ！　という素晴らしい状態だったのですが、よりに
よってこのタイミングでかよ！　またも近所のドンキに駆けつけて、一番
安いけど秋葉でならもっと安く買えるのになキーボードを買い込んで、よ
うやく本格的に再開です。待ってろよ締め切りの野郎！　目にモノ見せて
やるぜ！
　
　その次の日。ノーパソが動かなくなるなんて、いったい誰が予測したで
しょう？
　
　私のパソコンが動くまでの長い長い旅はまだまだ続くのですが、今宵は
ここまでとしとう御座います（古いよ）。

2010/12/24

●  男の子女の子

みなさんこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

早速ですが、丸谷先生のコラムの状況を。

来週にはここで掲載できる目処が立ちましたので、
お楽しみにしてらっしゃる方は、もうちょっとだけお待ち下さい。

さて、次は先週のアンケートの結果発表です。

お題は
です。

12月16日17時時点
という結果でした。

まさかのアリ派の肉薄、ですね。
アンケート開始直後では１：５くらいの割合だったんですが、
最終的には１：２近くまで詰め寄った感じで、スタッフ一同驚いています。

まあただ、この結果が即、何かしらのカタチになって現れるかといえば、
そういうわけにも行かないでしょうね。

肉薄したとはいえ、総評数もそれほど多く無いですし、
アリ派の２倍以上の人がナシだと思っているのもまた事実。

さらに事前情報無しで仕掛ければサプライズにもなるでしょうが、
もうここでネタは見せてるわけですから、
相当面白いシナリオ運びになるか、
もしくはちょっとしたお遊び程度に入れてみるかのどちらかでしょう。

なんというか今回の結果は、
昔秋葉原の大きな看板に「可愛いは正義」
とかいうフレーズが書かれてましたが、それを思い出しましたね。

リアルでも多少思い当たるフシはあるんですよ。
高校の時男子校だったんですが、
クラスで１人ジャニ系の同級生が居たんですね。

そいつに対しては、なんかみんなちょっと優しい、みたいな。
漫画とかゲームみたいな、あからさまな可愛がり方ではないんですけどね。
あれ？　ヤンキー系っぽい人たちもやや遠慮気味？　的な。

「オメーよぉ、可愛かったら何でもエエんかい？」
と言われたら、
「う〜ん、ぶっちゃけそうかもしれない」
と返してしまいそうな今日この頃です。

ただ誤解されないように言っておきますが、
「可愛い男の子は好きです。可愛い女の子はもっと好きです」
こんな感じですよ。

ちょっと具体例を挙げてみましょうか。
例の「アナル開発は基礎コマンドに必要ない派」の
スタッフとの雑談の中でのお話です。

「ボーイッシュな女の子」とか「ショタっ子」と聞いてイメージするのは、
大体優等生タイプが多い。
優等生タイプではない活発なキャラであっても、
性格は概ね純真だったりして、性別に関わらず確かに可愛いらしい。

じゃあ逆にボーイッシュというよりはボーイ、
いわゆるやんちゃ系の男の子っているじゃないですか。
イタズラ好きで、常に顔とかちょっと汚れてて、粗暴で、ちょっと小憎たらしい感じの。
あれの女の子版って何だ？
みたいな話をしてたんですね。

色々考えてみたんですが、なかなか出てこなくて、
「ボーイッシュ」と「ボーイ」はやっぱり何か決定的に違うのかしら？

……と思ってたらいましたよ。
『じゃりんこチエ』。

僕の中では彼女は全然アリで、可愛いと思える部分もあるんですが、
あれがじゃあ男だったらどうか？
と自身に問い詰めたら、可愛いと言えるかというと、
ちょっとキビシイかな〜……という感じ。

このケース、違うのは性別だけなんですけどね。
「女の子」である方が可愛らしさのレンジが広い。

性差、というものを改めてしみじみと噛み締めた瞬間でした。

……と、言うわけで今週はここまで。
来週はお待ちかねの丸谷先生登場ですよ！

それでは！


＜おしまい＞

2010/12/17

●  ボーイッシュなボーイ

みなさんこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

さて、12月です。
年の瀬と言えばまあ色々と思い浮かぶ行事が多いですが、
最近浅草に住んでるスタッフから、
「熊手を売ってる酉の市は12月ではなく11月のイベントだ」
と聞いて、軽い衝撃を受けました。

今日はこういう意外性の話をしようかと思います。

「男の娘（おとこのこ）」
って単語をちょっと前から目にするようになりましたね。

知らない方に説明すると、
「男の娘」というのは女の子の格好をした（ショタ気味の）男の子のことです。

具体例を挙げれば「ぴことちこ」とか、
DS版のアイドルマスターの「秋月涼」とかですかね。
具体的に知りたい方はこの辺の単語で検索してみるといいかもしれません。

で、ここから本題なんですが、
この「男の娘」という単語が世に出てくる前から、
似たようなのでやりたかったネタがあったのを思い出したんですよ。

「男装の女子と見せかけて実は男」

これです。

エロゲーには昔から「ボーイッシュな女の子」の系統で、
「男装の麗人」とか「学ランを着て男と偽っている女子」なんかは
そこそこ居たんですね。

まあエロゲーですから、そこはそれ、
どれだけ偽っていても最終的には女の子だと分かってエロシーンになだれ込むわけです。

なのでプレイする側としては、公然の秘密というか、
ゲームを進めていくとある程度検討は付くもので、
思わせぶりなシーンや台詞が出てくると、
「まあこんだけ可愛いんだから、
　きっとこいつは女でエッチシーンもあるんだろう。うむうむ」
なんてことを思いながら、歌舞伎の型を見るように楽しむわけです。

それはそれで様式美として悪くないけれども、
これじゃ意外性に欠ける、ということで、思いついたのが、
「男装の女の子と見せかけて実は男」
なんですね。

犬ちっくな後輩キャラですかね、この子は。
最初からもう主人公にすごい懐いてて、
話してると嬉しくてパタパタ尻尾振ってるのが分かるくらいな感じです。

で、ちょっと主人公に褒められたり、頭撫でられたりすると、
顔真っ赤にして照れるわけです。

ちょっと口の悪い友人キャラから
「あいつホモなんじゃねーの」
とか言われてるのを聞いちゃって、次の日から主人公に話かけにくくなったり。
そんな感じです。

この子は着替えは絶対ひとりでするんですよ。
男同士でも恥ずかしいとか言って。
逆に理由言わなくてもいいですね。
そっちも余計怪しい。

もちろんベタにアクシデントで主人公が着替え中を見ちゃうイベントもあります。
男同士ではあり得ないくらい狼狽する後輩。

風呂もひとり。
トイレも極力ひとり。
主人公と連れションイベントの時は、
抵抗しながらも、最終的には顔真っ赤にして男子トイレに入るわけです。
でも二人並んで小はしない。
うろたえまくった挙句、最終的に大きい方だと言って、個室に入っちゃう。

思わせぶりなイベントですね〜。
エロゲーをやり慣れてない人でも「ハッハ〜ン」でしょう。

で、こうしたベタベタな様式美イベントを一通りこなした後、
ついに告白＆エロシーンです。

放課後の部室ですかね。
夕陽がちょっと逆行気味になってて、
「先輩、実は僕……」
なんつって。

で、ＯＫしていざエロシーンへ！
ってなって脱がしてみると、ち○こが付いてる。

あれれ、今までのはなんだったの？
と問い詰めてみると、単に先輩（＝主人公）の事が好き過ぎて、
ああいう態度になってしまった、とのこと。

風呂やトイレがひとりだったり、極力肌を見せたがらなかったのは、
自分の体に自信がないのと、先輩（＝主人公）の裸とかが見られなくて……
という理由。

口の悪い友人が言った何気ない軽口は本当だった、というオチ。

……さて、お客さん。
どうでしょうか、このネタ。アリですかねえ。
意外性はあると思うんですよ。

さらに「男の娘」というジャンルが出来つつある今なら、
告白後のシーンも受け入れられるのかもしれない……
と思って、このネタをスタッフに聞かせたところ、
「意外性しかない。誰得」
と冷たくあしらわれたんですが、いかがでしょうか？

今週もアンケートを取ってみたいと思います。

　※投票は終了致しました。
　　ご協力ありがとうございました。

……というわけで、今週はここまで。
それでは！


＜おしまい＞

2010/12/10

●  アナるアナればアナるとき

みなさんこんにちは。
ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。

先週のStaffRoomでアンケートしましたね。
アナルの。

やっぱり気になるので、ちょくちょく経過を見ていたら、
自然とアナルのことを考える機会が多くなり、
「アナル感度とサマルカンドの語呂が異様に近い」とか
「アナルトリアの王子」とか
しょーもないことばかり思いついてしまう今日この頃です。

さて、さっそくですが、先週のアンケートの結果を発表します。
12月３日の15時時点ですね。

ネタっぽい内容だったにも関わらず、総投票数が３桁を超えたのは驚きですが、
結果は大方の予想通りの「必要ある」の圧勝。

これを踏まえて「必要無い」派の社内スタッフが、
「みんなそんなアナル好きなんですか……？」
とやや呆れ顔で言ってましたが、

ちーがーうーの！
好きとか嫌いとかそういう話じゃないの！

思わず社内でデカい声を上げてしまいました。

アナル開発が好きなのとアナルセックスが好きなのは、
似てるようで違う。
そりゃ中には両方好きな方もいるでしょうけども。

さらに言えば、
ＳＭ調教ゲーが好きなのと変態プレイが好きなのも、
似てるようで違う。

いわゆるＳＭ調教シミュレーションゲームや、
その中のアナル開発コマンドなんていうのは、
ＳＭそのものやアナルそのものに、取り立てて興味ない人でも
楽しめる要素が入ってるんです。
それは極めてゲーム的な楽しさの要素だと思います。

と同時に、アナル開発に代表される一連の調教は、
モニターの中のキャラクターとの共同作業の上に成り立つものですから、
キャラクターに対するある種の愛着というか、思い出というか、
そういったものも育むことが出来るわけですよ。

これは恋愛シミュレーションに近い感覚ですよ。
ゲームをやってる瞬間にモニターの中のキャラクターが
一人の人間として捉えることのできる瞬間が訪れるわけです。

当然恋愛シミュレーションとはやってることは相当違いますし、
それが愛ゆえなのかどうかは、シナリオ次第で変わってくるけれども、
キャラクターとの触れ合いから生まれた関係の何らかの形ではある。
それが大事なんですよ。

……とまあこんな感じで演説をぶっていたところ、
「分かるけど、そういうのは別にアナルじゃなくてもいいじゃん」
と「必要ない派」のそっけない返事。

おうおうおうおう。
言ってくれるじゃありませんか。

まあね、そうね。
別にアナルじゃなくてもいいけどね。
じゃあ代わりに何やるの？

……となると、なかなか返事が無い。

アナル開発は分かりやすいから良いんです。

それまで指が入らなかったものが入る。
１本だった指が２本になる。
最終的に挿入できる。
非常に分かりやすいんです。

これまで長々と言ってきたことをシンボリックかつシステマチックに表現できる。
それもアナル開発の長所なんですよ。

「近くに正しい場所があるんだから、わざわざそこに挿れなくても……」
往生際の悪い「必要ない派」はまだ言ってやがります。

だーかーらー、
わざわざそういう所に挿れようとするからドラマがあるんじゃないの。
シナリオだってそうでしょう。

弱小野球部が勝ち上がっていくのが面白いんであって、
シードされるようなエリート校が普通に予選勝ち抜く話のどこに感動があるんだ！
アナルもそれと同じ！

もしくは前人未到の地を切り開く冒険家な感じ。
地図に書いてある場所に行ってもロマンは無いんだよ。
そんな場所になんか俺たちは興味ないの！

なぜ山に登るのか、そこに山があるからさ。
なぜアナルなのか、そこにアナルがあるからさ。

あ、ごめん、今の嘘。
つい勢いでちょっとだけ嘘ついちゃった。
地図に書いてある場所も興味ありますよ。

マ○コもいいけど、アナルもね？
そんな感じ。

……というわけで、今週はこれまで。
それではまた！


＜おしまい＞

2010/12/03